こちらの渦巻き さて,どちら?

ウズグモの仲間,オキナワウズグモ,クメジマウズグモ

宮古島でのフィールドワークで覚えたウズグモの仲間。渡名喜島でも見つかりました。

だがしかし,この個体の作った渦巻き(かくれ帯),一部が壊れてしまったためか,渦の向きがよくわかりません。クモのいる辺りは分岐合流がいくつもあって,複雑。一筋縄ではいきません。もっと観察しないといけませんね。

さて,このクモの種名は何か?

こちらの掲示板の書き込みによると,渡名喜島周辺には


  • クメジマウズグモ,久米島
  • オキナワウズグモ,沖縄島
  • ミナミウズグモ,久米島・石垣島・西表島・与那国島

が分布するようです。沖縄クモ図鑑さんの情報によると,ミナミ‐は別属で網のようすもちがうみたい。では,クメジマ‐とオキナワ‐のどちらなのか。写真の絵合わせでは,属までが限界のようです。Yoshida,1981の記載論文を見ればわかるのかなぁ。内部形態を解剖して観察とかだと,無理っぽいなぁ。

ということで,軟弱にも,ウズグモの仲間,Octonoba sp.としておきます。

2018/07/14 渡名喜村渡名喜林道南西側

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これなあに? と,聞かれても

オキナワアズチグモの幼体

すぐには答えられないこともあるのです。主に,加齢に伴う現象で。

この時も,体長5㎜ほどの小さなクモが持ち込まれたのでした。姿形から,あれだろうと目星をつけたものの,確証はありません。TG-4で近接撮影して,正体を確認しました。

このクモは,オキナワアズチグモ。小さな体を目一杯使って,こちらを威嚇しているようです。何だか健気。そっと部屋の外に放してあげました。

2018/05/02 那覇市

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主脈に沿って 隠れてる

オナガアシナガグモ(?)

地下ダム資料館を見学して,まだまだ時間があったので,宮古島を代表する水辺環境(といってもいいくらい,水場の無いのが宮古島)の崎田緑地公園に立ち寄ってみました。以前訪れたときには,ずいぶん"キレイに"整備されてしまっていて,何だかなぁという感じでしたが,予想されたように放置状態でいい具合に水草や野草が繁茂していました。

草葉の間を縫ってトンボがたくさん飛んでいたのですが,それはさておき,まずはこれ。葉陰にそっと隠れていた細長いクモです。

図鑑の絵合わせで調べてみると,アシナガクモ属,Tetragnatha の一種のようです。が,ここから先が難しい。ここでは,オナガアシナガグモとしておきます。アシナガグモよりも腹部が細長いようなので。

オナガアシナガグモ(?)

夜になると水辺で水平な網を張るのだそうで,この撮影も16時過ぎ,そろそろ活動を始めたのか,体を露わにしている個体も見られました。

2018/04/25 宮古島市下地崎田川

なお,地名について,咲田よりも崎田が良いようです。気づけば,公園の名称もそうなっていました。出典はこちらの論文によります(リンク先pdf)。18世紀初頭の古文献なんて,教えてもらわない限り気づかない!

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這い出てきたのでは ないけれど

アダンソンハエトリの雌

おそらく

昨日6日は,二十四節気の啓蟄。それだからということではないでしょうが,デスクのまわりをハエトリグモが歩き回っていました。窓枠の縁に来たところをパチリ。TG-4にFD-1をつけて顕微鏡モードで撮影しました。

このクモは,アダンソンハエトリの雌。こちらの正面から撮影した雄と比べると,体全体の色合いが茶色っぽくて,触肢にも白帯がないことがよくわかります。

強い光を当てられて,どんなことを感じ考えているのでしょうね。

2018/03/07 那覇市

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あざとい手つき

ヤガタアリグモの雌

被写体を求めて裏の畑をウロウロ。鵜の目鷹の目で食痕のある葉を裏返したりします。

そうしているうちに,どこかからやって来た小さな影。見慣れてきたのか,もう見間違えることはありません,アリグモです。

特徴的な腹部のくびれと斑紋,ヤガタアリグモの雌です。何枚か撮影した中から,うまく合焦した一枚を選びました。この角度から見ると前中眼がとても大きくて,そろって前を向いていることがよくわかります。上顎は小さくて,しかもコンパクトにたたまれていて目立たない。そして何よりも,絶妙な角度で添えられた第一歩脚。見事にアリの触角を模しています。雄だってなかなかのもんですが,いかんせん上顎が大きくて違和感が出てしまいます。雄には選択圧がはたらかなかったのでしょうか。それとも何か重要な機能があるのか。う~ん。

2018/02/15 那覇市

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盛り上がり 積み上がり

クロホシテントウゴミムシダマシとウズタカダニ科の一種

陸貝探しで必ずチェックするのは,遊歩道沿いに作られたコンクリ施設。擁壁だったり,東屋だったり,拝所だったり。もちろん拝所には,入らないようにしているのでその外側ということになりますが,とにかく暗くてジメジメしたコンクリートは陸産貝類にとって大事な生息場所です。

で,そんな場所で見つかるのが,このクロホシテントウゴミムシダマシ。8月の観察では交尾ペアがたくさん見られたのですが,今回は個体数も少なめで,忙しなく歩き回っている。進行方向で待ち構えて撮影した一枚です。

で,PCの画面で確かめてみてビックリ。すぐ横に,なにやら8本脚のものが写っている。大きさは1mm程。このサイズになると,野外ではなかなか気付かないですね。で,その正体は,フォロワーさんに教えていただき,ウズタカダニ科の一種らしいとわかりました。ササラダニ亜目に入るそうで,気付いていれば,深度合成とかしてしっかり撮影していたのにと悔やまれます。

このダニ,成長に伴う脱皮殻を背負っているんだとか。この個体は4層背負っているので,成体になっていると考えられます。う~ん,奥深きダニの世界。

2017/05/04 宮古島市

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もうすぐ産まれる のかな?

ヤエヤマサソリ

ようやくミヤコウズグモの巣見つけて,ちょっと興奮気味。AFがうまく合焦しないので,いろいろ設定変えながら何枚も撮影。この巣が遊歩道の外にあったので,擬木に掴まりながらシャッターを切っていたのですが,ちょっと姿勢を変えた弾みに,ポロリと擬木から破片が落ちてしまいました。古くなって鉄筋が膨張していたんですね。おやまぁ,ごめんなさいと心の中でお詫びして,ふと気付くと鉄筋の横に何かいる。なんと,サソリでした。あまりに尻尾が小さいので,サソリモドキというやつかとも思ったのですが,その先端には控え目ながら毒針がついていました。

このサソリは,ヤエヤマサソリ。おっかなびっくり人差し指を近づけて撮った一枚です。が,あとから調べてみて,さらにビックリ。人にはほぼ無害,毒も弱いし,皮フを貫けないのだそうです。

さらにさらに,この種は単為生殖をするんだとか。一匹いれば繁殖可能。う~ん,連れて帰ってもよかったかも。でも,肉食系は餌の確保が大変だしなぁ。

節間が白く開いているのは子虫を出産間近なんだとか。ますます,う~ん,です。

こちらは,何度もフラッシュを焚いたので,威嚇されてしまったときのもの。こうしてみると,それなりにワイルドかな。

ヤエヤマサソリ

2017/05/04 宮古島市

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ぐるぐる渦巻き さて,どちら?

ミヤコウズグモの雌

今年もやって来ました,宮古島。今回の主たる目的は,昨年8月に観察した渦巻きの主を撮影すること。島を離れてから固有種と知ったミヤコウズグモです。

が,昨年の観察地に着いて愕然。全く網(かくれ帯)が見つかりません。あんなにたくさんあったのに何故???と疑問が膨らみます。梅雨入り前と季節が早かったからか,そうとはわからなくても環境条件が変化していなくなってしまったのか。いろいろ考えながら,渦巻きを探して林の中の遊歩道を歩きます。

しばし歩き回ってようやく見つかったのが,この一つ。ですが,薄暗い林の中で蜘蛛の巣にピントを合わせるのはなかなか難しい。何しろクモ本体は網の裏側にいます。レンズを上に向けるようにして,AF頼みで露出設定を変えながら何枚も撮影して,ようやく見られる一枚となりました。

膨らんだ腹部とかくれ帯のようすから,ミヤコウズグモの雌と考えられます。気になっていた渦の向きは,やはり反時計回り(上から見て)。渦を作るクモからすると,時計回りに作っていることになります。ただし,まだ観察例が2例ですから,もう少しサンプル数を増やさないと,なんとも言えませんね。

2017/05/04 宮古島市

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ハエトリの蠅捕り

マミクロハエトリ近似種雌の狩り

わたしのものだからね!という強い意志を思わせる目線が感じられますが,もちろん「目」といってもヒトの眼球とは全く構造が違いますが,円い構造が一対,正面を向いていると,それはもう目線を感じてしまいますね。

このクモはハエトリグモの仲間。で,種名は何かということですが,Twitterのほうでご教示いただいたことによると,「マミクロハエトリに似た、名前の決まっていない種類」とのことです。う~ん,ハエトリの世界,奥が深い。

マミクロハエトリ近似種雌の狩り

この一枚,TG-4とFD-1の組み合わせで撮影しました。獲物の蠅の方もよく写っています。が,こちらも種名は不明。センチニクバエのようにも思えますが,決め手に欠けます。背中も写しておけばよかった。

2016/10/12 那覇市

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こんなとこにも 未記載種

ハエトリグモ未記載種

通りすがりにふと気付く,建物の壁にハエトリグモ。う~ん,何だろう,と思いながら,とりあえず撮影。こんな時は,TG-4とFD-1の組み合わせで。ですが,そこは目のいいハエトリグモ。なかなかピタリと止まってくれませんし,フラッシュの瞬間に跳んでしまったり(文字通り),なかなかいいショットになりません。結局,フラッシュはオフにして何とか写せた一枚です。

写真を見て,触肢に白い毛が密生,斑紋も特徴的ですぐわかるだろうと思ったのですが,残念。Web図鑑で絵合わせしても種名は不明でした。

と,そんなこんなをツイートしたところ,ハエトリひろばさんのご教示によって解決。何と,「名前がないやつ」なんだそうです。身近で目立つ生き物だと思うのですが,まだまだ未記載種がいるんですね。

2016/09/19 那覇市

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