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小さくて 大きい世界

フタホシサビカミキリ

ふと気がついて,建物の壁に近寄り,じ~っと見るけど,よくわからない。何しろ小さすぎます。もう,肉眼ではこの大きさで詳細な観察は無理,な年齢です。そこで,マクロ撮影。カメラに備え付けの深度合成機能を使って,何枚か撮影しました。

撮影したものを拡大表示して,ようやく正体判明。カミキリムシのようです。それ以上は図鑑とネットで絵合わせしながら探してみました。

フタホシサビカミキリ,背面から

このカミキリムシはフタホシサビカミキリと考えられます。「カミキリ情報館」内のページを参考にしました。小さくて判然としませんでしたが,こうしてみると,細かな模様もちりばめられていて,とてもキレイ。でも,先のサイトなど見ると,よく似た微少な種がたくさんいるんですね。さらに,「東京昆虫館」内のページによると,なんと,この種はメスしか存在せず,単為生殖しているのだそう。

カミキリムシの世界,噂通り,広くて奥深い世界のようです。

2016/08/17 那覇市

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味わい深い この模様

ミヤコヤマタニシ

陸貝を求めて林の中へ。日が昇ったばかりということもあって,たくさんのカタツムリが活動していました。島では普通種と言えるものがほとんどですが,それは言い換えると,ほとんどが島固有ということでもあります。

この貝はミヤコヤマタニシ。オキナワヤマタニシの亜種という位置づけです。竜骨状の突起がほとんどなくて,殻の各層がつるんと丸くなってます。また,模様がハッキリしていることが多い印象があります。この個体も殻に沿って濃色帯が伸び,その中にジグザグ模様が入っていたりして,かなり美しいと思います。そして,軟体部,円らな瞳も,またカワイイ。

以前撮影した糸満市産のオキナワヤマタニシと比べると,よくわかると思いますが,どうでしょう。

2016/08/09 宮古島市

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ぐるぐる渦巻き どちら向き

ミヤコウズグモの隠れ帯(メス)

陸貝を求めて林の中へ。木立の根元に不思議なモノが。日の出直後で横から差し込む朝日に渦巻き模様が照らされていました。

蜘蛛の巣だとはすぐにわかったのですが,その造形を面白いと思い記念撮影。

が,戻って調べて,なんてこったい。宮古諸島の固有種でした。辛うじてクモの姿が判別できるのですが,もっとよく観察しておけばよかったと悔やまれます。でも,まぁ,このときは陸貝メインというかオンリーのつもりで撮影に来てますから,仕方ないとも言えます。

このクモ,というか蜘蛛の巣(網)を作ったのはミヤコウズグモ。う~ん,なんか工夫のないストレートな和名です。ウズグモ科はクモ目で唯一,毒を持たないんだそうです。そんな点でも珍しい。南西諸島では島ごとの分化が進んでいるそうで,この種は宮古固有。何でそんなに速く進化したのでしょう?生活の仕方に関係があるのでしょうか。

谷川明男さんによる「クモと西表島」内の沖縄クモ図鑑,該当ページによると,この渦巻き模様はメスの作る「隠れ帯」というもののようです。次はオスの方も探さないといけませんね。

ところで,この渦巻き,いつも渦の向きは決まっているのでしょうか。たくさん張られていたのに撮影したのはこの巣だけという,これまた残念な結果。蜘蛛の巣だけでもまだまだ観察しなきゃいけないことがたくさんです。

2016/08/09 宮古島市

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蚤というより 草の実みたいな

ミヤコパタラシノミギセル

おそらく,小さな,という意味で使われているんでしょうけれども。形が細長いので,その大きさと相まって草の実みたいに感じられます。よく見ればらせんを巻いているし,全くちがいますけどね。

このカタツムリは,ミヤコパタラシノミギセル。基亜種はパタラシノミギセルなんですが,和名がタラマノミギセルに変更されたようです。そして,この「パタラス」。語感からいって宮古方言だろうと勝手に思い込んでいたのですが,話者に尋ねても,そんな言葉は聞いたことないというので(もちろん,みゃーくふつで),間違いのようです。学名にありがちな人名のようです。

このときは,湿ったコンクリ壁に数個体が見られましたが,おそらく,普段は落ち葉の中などにいると思われます。これまで見たことなかったのですが,日の出直後という時間を選んだことで,また一つ新しい観察ができました。

2016/08/09 宮古島市

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タイミングよく

ショウリョウバッタ

何気なく目を向けた植栽で,見つけてしまったこの姿。これはもう,撮影するしかありません。で,この一枚となりました。

このバッタは,ショウリョウバッタ。和名の由来は2005年7月に紹介しました。明日から,旧暦のお盆。まさに,タイミングよく,です。

2016/08/14 那覇市

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今度は完熟

アカマイマイ

陸貝を求めて公園をウロウロ。日の出直後にやって来たのは,うまくすると活動中の姿が見られるかもしれないと考えたからです。とはいえ,開けて乾いている場所では期待できません。公園から離れ,林の中へと続く道に入ってみました。もともと城跡(県外のものとはちょっと違うけど)で,御嶽もたくさんあるような場所ですから,鬱蒼としたジメジメ環境もたくさんです。そんな山道で見かけたカタツムリ,アカマイマイです。

最初に撮影した2008年5月は活動中の未成熟個体,次に撮影したのは2011年5月で,殻の中に引っ込んで休息中の個体でした(そのため,特徴的な殻底部,大きな臍孔も見られました)。今回の個体は殻口の反り返りも充分で,成熟していると考えられます。大触角の間の頭瘤もしっかりしてますしね。撮影してから気付きましたが,生殖口が開いていて,その位置がよくわかります。朝日とフラッシュで殻の色彩は変わってしまっていますが,いろいろ写せて良いショットになりました。

2016/08/09 宮古島市

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よく見ると いろいろ付いている

ミヤコゴマフカミキリ

陸貝を求めて,日の出直後の公園をウロウロ。草ボウボウの植え込みに気軽に入っていけるのも,ハブのいない宮古島ならではです。そんな敷地境界の立ち枯れの切り落とされた木口にカミキリムシがとまっているのに気付きました。が,ちょっと高い。かなり高ければ諦めもつくのですが,ちょっと,なのです。懸命に手を伸ばし撮影したのがこの一枚です。やっぱりブレちゃってますね。

この虫はミヤコゴマフカミキリ。2008年5月にも観察していました。朝の光を浴びて,この虫特有の色合いが出ていませんが,仕方ないですね。写真をレタッチしていて気付いたのですが,お腹の下に何かついている。さらに首(?)の周りなどにもいっぱい。う~ん,現地できちんと見ていなかったのが悔やまれます。ダニなど外部寄生虫でしょうか,カビでも生えてきているのか。あるいはただの汚れなのか。ただ写すだけじゃなくて,そのものをよく見ないといけませんね。

2016/08/09 宮古島市

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やがて消えゆく 白き頂

ミヤコオキナワギセル

並んで写っているこの細長いカタツムリ,よく見て数えると,その巻き数が違います。明らかに右側のほうが多い。だがしかし,更によく見ると,左側は先端が欠けているのがわかります。実はこの仲間,成熟すると殻の先端,殻頂部分か欠け落ちてしまうのです。

この貝はミヤコオキナワギセル。前回の撮影は2000年1月ですから,16年ぶりです。移動力の乏しい生き物ですから,生息場所に行けばそれなりに観察できていたのですが,今回再訪してビックリ。多産していた並木が伐採され整地されていました。なんてこったい,ですが,子どもたちもたのしめるような公園ですので致し方ない面も。すぐ側の植え込みでしっかり生きながらえている姿を確認しました。

近縁のオキナワギセルに比べると,殻の色が特徴的なことがわかります。島の固有種が生きながらえていけるように,そんなに広くはない生息地ではありますが環境が保全されることを望みます。

2016/08/09 宮古島市

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暗くて 湿った 人工物

クロホシテントウゴミムシダマシ

三度目の観察も,これまでと同様,陸貝を求めてウロウロしている時の出会いでした。そして,いずれの場合もタイトル通り,暗い林の中にある湿った人工物,コンクリートの上でした。どうやら,コンクリの表面に生えたコケやカビとかそういったものと深い関わりがあるのかもしれません。

この甲虫はクロホシテントウゴミムシダマシ。気付いた時は,微小な陸貝かと思ったのですが,撮影してみると全く違っていました。これまでの2007年7月糸満市2009年8月沖縄市での撮影と比べると,TG-4とFD-1の組み合わせによる近接拡大撮影の威力は絶大です。

クロホシテントウゴミムシダマシ,交尾行動

今回の観察でも交尾行動が見られました。これまでの観察も季節は夏。繁殖の時期なんでしょうね。

2016/08/09 宮古島市

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また,会えたね!

ウラキヤマタカマイマイ,葉裏で休息

あわよくば活動中の姿を見てみたいと,夜明け前に起き出して,日の出に間に合わせてやって来ました。が,現地についてちょっとびっくり。元々公園だったところですが,さらに「キレイに」整備されて,生き物たちをたくさん見られた場所がすっかり無くなっていました。う~ん,残念。

それでも,と鵜の目鷹の目で探して,ようやく見つけたのがこの一枚になりました。前回の観察から16年ぶりとなります。中琉球を代表する(と勝手に思っている)オキナワヤマタカマイマイ属のうち,最も南に分布するウラキヤマタカマイマイです。前回,2000年1月の観察では,軟体部を見せてくれたり,無帯型が見られたりと,まだまだ健在と思われたのですが,その後,大型台風による生息地の撹乱等々もあり,何度かこの地を訪れてもその姿を見られずじまいでした。

樹上棲のこの仲間,休息中の姿を撮影すると,どうしても同じようなカットになってしまいます。これまで,久米島のオモロヤマタカマイマイや沖縄本島のオキナワヤマタカマイマイを紹介してきました。あまり,ウラキ(裏黄)という感じがしませんが,地面に落ちていた死殻を見ると,殻底部が色付いているとわかります。

ウラキヤマタカマイマイ,落ちていた死殻

死殻のすぐ傍らには,ニューギニアヤリガタリクウズムシがいたりして,心配の種はつきませんが,イシガキニイニイのようになること無く,島の各地で生息環境が守られてもらいたいと願います。

2016/08/09 宮古島市

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偉大な発明だったと つくづく思う

ブラーミニメクラヘビ

所用で訪れた宮古島,車を止めて荷物を持ってとゴソゴソしていると,同行者から何かいるという声。行ってみてビックリ,なんとブラーミニメクラヘビでした。県内の大抵の島にいる普通種ですが,これまた,なんと,これまで見たことなかったのです。思いがけない出会いでした。

で,撮影しようとするのですが,かなり俊敏。まさに,蛇の動きです。仕方なく,捕まえてみたのですが,ここでまたまたビックリ。かなり力強いのです。小さな体からは予想できない抵抗でした。ということで,このタイトル。脊椎ってすごいですね。

この一枚は地面において,逃げ去るところを写した一枚から。かなりブレてますが,全身を捉えられているので。初見の記念ですね。

2016/08/07 宮古島市

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一度はその味,試してみたい!

イヌマキの花床と種子

駐車場の脇にたくさんなってたよ,と聞いて,それはぜひと,さっそくカメラを持ち出してパチリ。少しだけ枝先を折り取って室内に持ち帰り,いろいろ観察させてもらいました。

この果実のようなものはイヌマキの種子。微妙な表現になっているのは,イヌマキがいわゆる裸子植物で,写真左側の赤く色づいている部分は「花床」で果実ではないのです。右側にくっついている部分が種子なんですね。実際には包葉に包まれているとのことですから,雌花のうちに観察しておきたかったと悔やまれます。

イヌマキの花床と種子の断面

この花床,何と食べられるんだとか。甘みもあるということで,これはぜひ試したい。が,どんな色になると熟しているかがわからなかったので,とりあえず切り開いてみたのがこちらの写真。汁気がたっぷりで,いかにも美味しそう。鳥がつつくようになったら,食べられるかな。

イヌマキ,木になっている様子

木になってるときはこんな感じ。まだ傷ついているもの,落ちているものがほとんどなかったので,しばらく待ってみます。

2016/08/03 那覇市

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