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ちょっと離れて 見つめてる

ムクドリとヤツガシラ
春休みに入って島を離れた子どもたちが多いためか,集落の中が随分静かに感じられます。グラウンドで遊ぶ姿も見られないので,フィールドでは野鳥たちが集まって,しきりと何かを啄んでいました。

そんな中で,この日は珍客の組み合わせが見られました。ムクドリヤツガシラです。広いグラウンドの中で,付かず離れず一定の距離を保って,しかも,時々視線を交わすような仕草をしています。このカットの時は,ムクドリがヤツガシラの口先を覗き込んでいるようにも見えます。

2007/03/19 渡名喜村立渡名喜小中学校グラウンド

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全てを見るのは 難しい

アオカナヘビ
このphotologで紹介してきた生き物を種類別に数えると,昆虫と植物が大部分を占めています。何しろ余り逃げないので,ゆっくりじっくり撮影できるのです。それとは対照的なのがヘビ・トカゲの仲間。元々隠密行動だし,こちらの動きに敏感なので,観察はできてもカメラを向けようとしたとたんに,さっと隠れてしまうのです。

この3年間でも撮影までできたのは,僅かに3回。今回が4回目でした。このときも,いったんは逃げられてしまったのですが,ジッと動かず待っていたら,また草むらから顔を覗かせてくれたのです。

このトカゲは,アオカナヘビ。前回の観察よりは,カラーバランスのいい一枚になりました。下半身も撮影できているのですが,しっぽの先は草むらの中なので,思い切って上半身だけをトリミングしました。今回は,体側の白線や手指の鱗,鼓膜のようすなどが,よく写せたかなと思います。

2007/03/18 渡名喜村シブーシューカーラ(集落南方段丘面の墓地)

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すぐ近くにいるときは 気付かない

ゴイサギ
渡名喜島は山がちな地形なのですが,島自体が小さいためか水系はほとんど発達していません。そのためか,農業用水を確保するために山際にいくつかの溜池が造成されています。浅瀬などはないのですが,島では貴重な水場です。この日登った場所にも,こうした溜池が作られていて,やっぱり気になるので行ってみたのです。

ほとんど人が通った形跡はないのですが,コンクリートの舗装道路が造られています。安全管理のためにフェンスが設けられていて中には入れないので,そーっと覗いてみました。

すると,すぐ近くで聞き慣れない鳴き声。カエルのような鳥のような,「クァ」というか「コゥ」というか,そんな感じです。何だろうと辺りを見回すと,数m先から2羽の鳥が飛び出してきました。池の反対側にとまったところを撮影した一枚です。

この鳥は,ゴイサギ。前回も同じような状況での観察でした。全く,灯台下暗しです。

今回の撮影では,頭の後ろに伸びた飾り羽が判別できる点がいいかな,と思います。

2007/03/18 渡名喜村シブーシューカーラ(集落南方段丘面の墓地)の溜池

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次の一歩は 大きなジャンプで

ヨツモンタマノミハムシ
慣れない藪漕ぎをしていて,道を見失い立ち往生していたときのこと。ふと足元を見ると緑の草むらに一点の朱。前回の観察では,一瞬にして逃げられてしまった,ヨツモンタマノミハムシです。

このときは,ちょっと休憩中だったのか,角度を変えて撮影したり,周囲を動き回っても姿を消すことなく,たっぷり撮影することができ亜mした。とはいえ,真横からのカットを撮ろうと,とまっている茎を回転させたら,例によって,ピョーンと跳んで,どこかへ行ってしまいました。

2007/03/18 渡名喜村シブーシューカーラ(集落南方段丘面の墓地)

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産むぞ! 増やすぞ!!

タイワンキドクガ交尾
年末から,チラホラとその姿を見かけるようになってきたタイワンキドクガ。そろそろ,要注意季節の到来です。

と思っていたら,案の定,こんな姿を目撃しました。夕暮れ時の集落内。ブロック塀で交尾していたのです。おそらく小さな方が雄で大きな方が雌なのでしょう。

野外活動にも気を遣わないといけなくなります。

2007/03/18 渡名喜村集落内

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時は巡り,また春が来て

オキナワコアオハナムグリ
春分の日に引き続き,この日も穏やかなうりずんの陽気。昼休みにちょっと足を伸ばして,里の宮へ登ってみました。

登り始めてすぐのところ,シャリンバイが満開になっていました。仄かな香りに誘われたのでしょう,たくさんの虫たちが集まっていました。その中で見つけたのがこのハナムグリ。オキナワコアオハナムグリです。

昨年は,一瞬しか見られなかったのですが,この日は,花の中に頭を突っ込んで,蜜や花粉を貪り食っているようすをじっくりと観察できました。

2007/03/22 渡名喜村カンヌティ

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春は 米搗き

3月上旬の悪天候の後,島では穏やかな日が続いています。うりずんの到来を感じさせる日々です。そうなると,目立ってくるのが灯火に飛来する虫たち。中でも,今年はコメツキムシが目立ちます。


クシコメツキの仲間

体長20mm程のこの虫は,クシコメツキの仲間。脚の先端が二叉になっているのを「くし状」というようです。が,この仲間,『沖縄産昆虫目録』には,クシコメツキと同属のMelanotus だけで13種類も挙げられているのに,図鑑にはほとんど情報がないのです。それで,同定は「クシコメツキの仲間,Melanotus の一種」という表現にしておきます。

今夜(21日)は月齢も若く,宵の口には暗夜となったので,集落内の街灯ごとに1~2匹という状況でした。


2007/03/14 渡名喜村集落内

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わかってやっているのだとしたら,たいしたもんだ

もうすぐお彼岸。

だからというのではありませんが,以前から気になっていた集落南方の段丘面に行ってきました。というのも,ここにはお墓がたくさん集まっていて,よそ者がノコノコ行くような雰囲気ではなかったからです。まぁそれでも,3年間思い続けていたので,意を決して登ってみました。藪漕ぎのまねごともしたのですが,あえなく撤退。それでも初見の生き物を撮影できました。


モンクロキシタアツバ

お墓の脇の草むらで,昔のあぜ道を探していると,足元から一頭の蛾が飛び出しました。目にも鮮やかなオレンジ色。ところが,ひらひら飛んでいる間はあんなに目立っていたのに,とまってしまうとどこにいるのか,簡単には見つかりませんでした。

それもそのはず。前翅の黒斑と褐色の地色で,見事に周囲に溶け込んでいます。枯れたシダの葉に平行になるように頭を下にしているところもスゴイと思います。この蛾はモンクロキシタアツバ。カラムシツルモウリンカを食害するそうですから,渡名喜島は彼らにとって住みやすいところだと言えそうです。


種小名はsagitta。このとまり方なら納得です。でも,わたしにとって,Sagittaといえば,やっぱりこちら

2007/03/18 渡名喜村シブーシューカーラ(集落南方段丘面の墓地)

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最後に なるまで 疑問です

こうしてphotologを付けながら自然観察をするようになって4年目,季節がめぐる度に,何だか同じようなものを見ているなぁ~と気付かされます。



シロオビアゲハ前蛹

この日も卒業式を終えて,のんびりと帰宅する道すがら,民家の壁に怪しげなものを見つけたのです。早速近寄ってみると,もうすぐ蛹になろうかという芋虫。前蛹というのでしょう。既に体を支える糸を張り終わっていました。

すぐにアゲハチョウの仲間だとは判ったのですが,同定は図鑑やネットを見ながら。斑紋からはモンキアゲハのような気もするのですが,島で成虫を見かける頻度を考えるとシロオビアゲハとしておくのが妥当のようです。


シロオビアゲハ蛹

一週間ほどしてから,再び見に行くと,緑色とも褐色とも言えない,中間型の色彩で蛹になっていました。こんな白い壁ではとても目立っていると思うのですが,蛹の色は何によって決定されているのでしょう?

2007/03/10(前蛹) 渡名喜村集落内
2007/03/18(蛹)  

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この島では珍しい

ムクドリ
一週間前の卒業式に引き続き,修了式なども終えて,学校もホッと一息ついたところです。けれども,自然の方は,春の渡りの季節。次々と見慣れぬ鳥たちを目にします。

この鳥も,そんな,島では滅多に見られないものの一つ。けれども,本州では,お馴染みの鳥の一つですね。

この鳥はムクドリ。コムクドリの紹介で,ちょっと触れましたが,どうにも地味な配色です。頭部の白黒黄色は目立つんですれども。地味ながら目立つという,矛盾をはらんだ配色ですね。
ムクドリとギンムクドリの混群
ギンムクドリの群れに,一羽だけ混ざって,行動を共にしていました。

2007/03/16 渡名喜村立渡名喜小中学校グラウンド

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姿勢は悪いが

クロウタドリ
島に来て3年の月日が過ぎようとしています。素人が観察できる生き物は,かなり網羅したと思っていても,まだまだ道半ば。まだまだ新しい生き物に出会えます。小さな渡名喜島ですが,その懐はとっても深いみたいです。

さて,この鳥。すぐ側で餌を啄んでいたツグミを撮影していたところ,さっと舞い降りてきて,同じようにしきりと地面を突いていました。その真っ黒な体と黄色い嘴がとても目立っていました。慌てて撮影したのですが,すぐに草むらに隠れて,そして飛び立ってしまいました。

辛うじて撮影できたこの一枚から,エイッと同定してしまうと,これはクロウタドリ。結構珍しいようです。属自体はシロハラやツグミ,アカハラと同じなのですけれども。

2007/03/16 渡名喜村立渡名喜小中学校グラウンド

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女は座して待つばかり

アマミヒゲコメツキ雌
日が暮れて,すっかり暗くなった7時前の集落内。ブロック塀の上で大きな昆虫を見つけました。始めはウバタマコメツキかとも思ったのですが,どうも体型が細長い。とりあえず撮影と何枚もシャッターを切っておいたのです。

その後,図鑑などで調べるのですが,どうもコメツキムシというのは特徴がつかみにくいのです。またもやお蔵入りか…,と思っていたところ,意外なことから正体が分かりました。

この虫は,アマミヒゲコメツキの雌。先日の方を紹介しました。それと鞘翅の斑紋,胸部の隆起などの特長が一致しています。きっと,こちらの雌がフェロモンを放出し,立派な触角を持つ雄がそれをキャッチしているのでしょう。

2007/03/08 渡名喜村集落内

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大きなヒゲは男性の徴

先日持ち込まれたときは時間が無くて,しっかりと撮影できなかったのですが,ようやく野外で生態写真を撮ることができました。
アマミヒゲコメツキ雄
体の大きさに対して,余りに巨大な触角を持つこの虫は,アマミヒゲコメツキ。ネット上に「ヒゲコメツキ」の情報は多いようですが,「アマミー」については,ほとんど見つけられませんでした。見つかったのは昆虫写真家として有名な湊さんのサイトのものくらい。珍しい昆虫なのかどうか,それすら不明です。

こちらのサイトの写真と比べると,「アマミー」の方は,随分と複眼が突出しているように見えます。ここを識別点としてしまってよいのでしょうか? 同定は分布域によりました。

2007/03/13 渡名喜村集落内

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親子兄弟 揃いも揃って

先日紹介したガジュマルを食害する幼虫の正体が,ほぼ判明しました。

いろいろ情報を集め,調べてみると,こんな写真が見つかりました。更に,より成長したステージの幼虫(終齢か?)を集落内のガジュマルで見つけたのです。その写真がこちら。
オキナワイチモンジハムシ幼虫
ということで,この虫はオキナワイチモンジハムシで決着です。このサイズなら,よく見ると甲虫類の幼虫だと判ります。しかし,それも先入観があってのこと。野外で初見では難しいです。

2007/03/08 渡名喜村集落内の藪

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胸を張っていこう

ハクセキレイ
普段は警戒心が強くて,なかなか近付けないのですが,このときはなぜか気付かれなかったらしく,すぐ側まで近寄ってくれました。それでも,気にはしているようで,地面を啄んでは,こうして背伸びをして辺りをキョロキョロと見渡していました。

この鳥は,ハクセキレイ。以前紹介したときは,逆光気味でした。今回は順光ですので,頭部や胸の斑紋がよく分かります。頭部が灰色ですから,この個体は雌のようです。

2007/03/01 渡名喜村集落内の畑

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もう一人前です。

オニノゲシ
春のグラウンドは,野草の花が咲き乱れています。やがて,全て刈られてしまうのかと思うと,ちょっともったいないような気もしますが,仕方ありませんね。

わずか10㎝ほどの草丈ながら,立派に花を咲かせていたのは,オニノゲシ。本来は1mくらいまで育つそうです。それに比べれば本当に小さい株ですが,葉の棘は硬くなっていて,しっかり一人前のようです。

今日は渡名喜小中学校の卒業式。麗らかな春の陽射しのもと,8名の生徒を送り出しました。

2007/03/08 渡名喜村立渡名喜小中学校

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流れ者がその翼を休める場所

ツバメ
啓蟄を迎えたこの日,記録的暖冬と騒がれたシーズンを締めくくるかのような強い寒波に見舞われました。渡名喜も強い北風が吹いて,フェリーは二日続きの欠航。気温も上がらず,とても3月とは思えない陽気でした。

日も暮れかけた頃,ツバメがいるという知らせが届きました。見に行くと,校舎の中の時計に3羽のツバメが身を寄せ合っています。人が近付いても,声を上げることもなく飛び立とうともしません。余程体力を奪われてしまったのでしょうか。

一夜明けて,今朝,元気に飛び出していきました。無事に渡りを続けられればいいのですが。

2007/03/06 渡名喜村立渡名喜小中学校

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地図か 迷路か

ノメイガ亜科?幼虫の食痕 以前ニシキヒロハマキモドキを見つけた堤防に生えているガジュマルの茂み。今度も何か見つからないかと顔を近付けてみました。残念なことにニシキヒロハマキモドキは見つからなかったのですが,小さな幼虫が,おもしろい食痕を残していました。

ガジュマルの葉を裏返してみると,その表面だけを削り取るように食べていて,まるで,笠貝類の喰み跡のようです。その複雑な模様は,何となく地図にも似ています。フラクタル性があるのかもしれませんね。


さて,この幼虫の正体ですが,さすがにこれだけ若齢だと,図鑑やネット上の情報を見ただけでは判断できません。おそらく,ノメイガ亜科ではないかと思うのですが,全く自信はありません。

2007/02/12 渡名喜村ユブク浜

その後,正体が判明しました。
オキナワイチモンジハムシの幼虫でした。

2007/03/13 追記

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ビロードの質感

オキナワビロードセセリ 子どもたちと出掛けた野外観察を終えて集落へと戻ってきたときに,目の前を素早く横切る蝶がいました。直線的なこの飛び方はセセリチョウの仲間。でも,これまでに紹介したユウレイセセリチャバネセセリよりも一回り大きいのです。後翅にある白線もこれらの種にはありませんでした。

素早く飛び回るところを,例によって「数打ちゃ」方式で何とか捉えた一枚です。


この蝶は,オキナワビロードセセリ。吸蜜中も羽ばたいているので前翅はブレてしまいましたが,特徴的な模様は写せました。この模様,ジャノメチョウタテハチョウの仲間と共通です。収斂進化といっても良いのでしょうか。

2007/03/01 渡名喜村集落南の外れの藪

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ちょっと黄色が過ぎるけど

オビヒトリ? 朝の慌ただしい時間帯,それでも被写体を見つけると立ち止まってしまうのは悲しい性ですね。

この日見つけたのはちょっと大きめの蛾。全身が薄い黄色で脚が赤い。ヒトリガの仲間だろうとまでは見当をつけて撮影。で,いつも頼りにしている【みんなで作る日本産蛾類図鑑V2】で調べるのですが,これが難しいのです。真っ白ならばシロヒトリだろうと思うのですが,分布域が違うようです。


コベニシタヒトリベニシタヒトリスジモンヒトリ奄美亜種を疑いつつも,オビヒトリと同定しておきます。何といっても食樹がクワですから,島にもたくさん植えられています。

こうして,冬の間見られなかった昆虫が見つかるようになると,春本番を感じます。

2007/02/16 渡名喜村集落内

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一筋ではなかった

アオスジアゲハ こうして撮影してみて,初めて気が付いたのですが,赤紋もあるんですね。さらには,前翅と後翅で,青筋の色合いが微妙に違っているようです。後翅の方が輝いて見えるようです。
この蝶は,アオスジアゲハ。わたしの育った地域では滅多に見られなくて,夏休みに海水浴で訪れた外房での思い出の中にある昆虫です。渡名喜島では,特に珍しいということはないのですが,何しろ素早く飛び回って,なかなかとまってくれない。吸蜜も忙しなくて,羽ばたき続けていて,これまで撮影できずにいたのです。この日は,たまたまオオハマボウの葉にとまったところを撮影できました。

2007/03/01 渡名喜村ユブク

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