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このときばかりは,ジッとしている

モンシロチョウ 春の訪れを感じさせる昆虫といえば…やっぱり,このモンシロチョウでしょうか。けれども,渡名喜島では,年明けから畑の上を舞う姿が見られるようになります。そして,この蝶,落ち着くということがない。ひらひらと飛ぶのはよいとしても,一所にジッと止まってくれないのです。

昨年の夏には草むらの陰から写した写真を掲載しました。今年は,交尾中(かもしれない)ところを狙って,近付いてみました。翅の紋様の違いは雌雄差だと考えられます。右の黒っぽい方が雌。どちらも細かい黒点がちりばめられていることがわかります。飛んでいるときは,ここまでわかりませんよね。


2006/02/22 渡名喜村西底原

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期間限定

リュウキュウコザクラ
穏やかな春の日差しに,一斉に野草の花が開いたような渡名喜島です。この花も,この時期だけに見られるもの。去年は株全体のようすを紹介した,リュウキュウコザクラです。

和名には「コザクラ」とありますが,サクラソウとは属が違うそうです。リュウキュウコザクラが属するトチナイソウ属は,分布の中心が北の地方にあるとか。琉球列島で見られる北方要素としての価値があるんですね。なお,この白い花が,日が経つと桜色に変わっていくんだそうです。それでこの名前なんですね。

2006/02/22 渡名喜村立給食調理場

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いつでも どこでも

トキワハゼ 普段は上から見下ろしているものを,ちょっと屈んで低い目線で見直してみると,思わぬ発見があったりします。この日は,思い切って,地面スレスレにカメラを構えてみました。

この花はトキワハゼ。和名の由来はこちらに書かれている通りです。

草丈が10cm程度ですから,いつもは気にも留めませんが,確かに,すぐに花を見つけられます。でも,こうして拡大撮影してみると,唇状の花弁は中央に溝があること,その奥には直立した毛が密生していること,天井部分に雄しべが付いていることなどがわかります。


まるで,昆虫を誘っているようですが,何しろサイズが小さいので,普段目にしているハチやアブでは入れそうにありません。この花を訪れる虫がいるのか,この形の機能はどんなものなのか。身近なところでも疑問は尽きません。

2006/02/16 渡名喜村立渡名喜小中学校

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5枚の花びら

オニタビラコ 連日,最高気温が25℃を超える日が続いて,路傍の野草も次々と花を咲かせています。そんな,日だまりの中で咲いていたのがこの花。オニタビラコです。各地で見られる普通種ですね。島でも,建物の周辺などで,簡単に見つけられます。

ところで,どこが5枚かということですが,この種を含むキク科の花は一輪が一つではないのです。たくさんの小さな花が集まった,頭状花序と呼ばれるつくりをしています。たくさん付いている花びらのようなものは,それぞれ1枚がひとつの花の花びら。頭状花序の一番外側に位置する舌状花だけの特徴なのですね。一方,中央部の花びらを持たない花は管状花と呼ぶそうです。


何てことは,ちょっと図鑑を見れば書いてあることです。問題の「5」は舌状花のギザギザの数なのです。その谷から基部まで縦線が伸びているところを見ると,これは5枚の花びらが融合したものではないか,そう考えられるのです。でも,確たることはわかりません。それでも,管状花の雄しべの数から考えて,間違いないと思っています。

2006/02/22 渡名喜村立渡名喜小中学校

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「モグラ・コオロギ」と呼ばないのは?

ケラ
パッと見ただけですぐにそれとわかるこの姿形。おなじみケラです。と書いたところで,はたと手が止まる。近頃の都会生活者にとっては,身近な昆虫とは言えなくなっているのかな?

で,こちら渡名喜島。畑仕事や草刈りの時など,結構簡単に観察することができます。ところが撮影は難しい。素早く動き回って,なかなかジッとしてくれないのです。といっても,元々,地中生活者ですから,明るい地上では落ち着かないのでしょうが。今回は,既に死んでいたので落ち着いて撮影できました。

ところで,学名を確かめたりするために(手持ちの資料がちょっと古いので)ネットで検索してみると,種小名の違うものがいろいろ。迷っていたら,こちらのサイトにこんな記事が。Gryllotalpa sp.ということで,分類が確定していないのですね。ここでは,手持ちのリストに従ってGryllotalpa fossor としておきます。

この属名ですが,こちらのサイト(英文)によると,gryllusはコオロギ,talpaはモグラということで,英名の“mole cricket”の直訳です。一方,日本語では独立した「ケラ」。それだけ身近な存在だったのでしょうね。

2006/02/20 渡名喜村集落内の空き地

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逃げ出してきた…のカナ?

カラシナ ほぼ一月ぶりに林道へ。けれども,出発の時点で既に午後4時。いくら日が延びたとはいえ,もう日が傾きかけていました。林道の法面で見つけたこの花も,光が充分に当たっていなくて,ちょっと色がくすんで写ってしまいました。

この花は…種名は不明。カラシナに近いものだと思うのですが。県内では,カラシナの改良品種のシマナが広く栽培されています。集落の畑でもよく見られます。けれども,ここは集落からは遠く離れた山の中。畑仕事に行く車が通るようなところではありません。


アブラナ科の野草に該当するものが無さそうですので,暫定的にカラシナとしておきますが,もしも栽培品種だとしたら,どんな手段で島内の分布を広げたのでしょう。そこかしこで見られたので,気になるところです。

2006/02/05 渡名喜村渡名喜林道

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踏みつけられても,また立ち上がる

ツメクサ
渡名喜島の集落は,フクギの屋敷林と白砂の道が印象的です。その道は,もちろん人や車が通るし,村人が丁寧に手入れしているため,白い砂の道として保たれているのですが,塀沿いなどには何種類かの野草を見ることができます。

その中でも,いつか花の写真を撮ろうと狙っていたのがこの植物。小さな小さな白い花を咲かせているツメクサ。硬い体を持つわけでもないし,ロゼットを作るわけでもないのに,踏みつけに大変強くて,まさに路傍の草。細く尖った「爪状」の葉も役に立っているのでしょうね。

ところで,このツメクサはウシハコベと同じナデシコ科。村花カワラナデシコとも同じなのですね。そういわれると,葉の付き方がカーネーションと似ているかも。

2006/02/16 渡名喜村立渡名喜小中学校

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春の訪れ

キュウリバナ
いつもなら,気にも留めずに踏みつけてしまうような小さな野草でも,立派な花を咲かせています。ところが,元々小さな株なので,その花も小さく,気付かないのですね。このblogを始めて,野草もよく見るようになり,様々な花に気付くことができるようになりました。

雑草といわれるくらい繁殖力の強い野草たちは,年中花を咲かせています。けれども,中には,花の時期が大変短いものもあるんですね。写真の花もその一つ。小さな小さな淡青色の花びらは根元が黄色く,よく見ると,大変可憐な花です。この花はキュウリバナ。名前は葉を揉むとキュウリのような臭いがするからだそうです。でも,ワスレナグサに近い仲間だそうで,純群落になれば,それなりに見応えがあるかもしれません。図鑑には,花の時期が3~5月と載っていました。まだまだ寒い日もありますが,県内は春を迎えたようです。

2006/02/16 渡名喜村立渡名喜小中学校

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あちこち更新

今日は,いろいろあって,通常の更新はお休み。
その代わり,といっては何ですが,あちこちのblogを更新しました。ということで,それらのリンクを載せておきます。


★勝手に渡名喜
みんなで会食,収穫祭

★渡名喜島から九州へ行くぞ!
発表会で報告,そして旅の終わり

★渡名喜島の漂着物
発表会で報告,そして調査は一区切り

あ~撮影に行きたい!

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露と答えて

シラタマカズラ
「これは何だ?」と疑問が湧いてくる程,たくさんの白い玉。

もちろん正体はこの植物の果実なのですが,林道沿いの法面で,いっぱい見られました。緑の中で,房状になった白い果実が大変目立ちます。一つ取って割ってみると,中には汁気のある果肉と種子が入っていました。このときはもっと熟すと色が付くのだろうと思ったのですが,図鑑で調べてみると,これが違っていたのです。

この植物はシラタマカズラ。その名の通り,この色で熟しているんですね。図鑑では「白熟」と記述してありました。先端の褐色の部分は「萼歯」というそうです。

2006/02/05 渡名喜村大本田渡名喜園地

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繋ぎ止めておけないかも

ミツバノコマツナギ
何を繋ぐかといえば,馬なのですが,流石にこの場所では細すぎて,無理がありそうです。海岸の急斜面で可憐な赤い花を咲かせていたのは,ミツバノコマツナギ。「三つ葉の駒繋ぎ」ということですね。こちらのページにも書かれていますが,「コマツナギ」の謂れを知りたいところです。

一方,別名としてナハエボシグサとも呼ばれているそうです。こちらは「那覇烏帽子草」でしょうから,花の形をよく表わしていますね。学名はIndigofera trifoliata。種小名の「trifoli-」は「三つ葉」ということでしょうから,洋の東西で同じ発想なんですね。属名の「Indigo-」は藍染めの染料に用いられることから来ているようです。

2005/12/17 渡名喜村サギヌヤーヌシャ(南海岸)

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あれっ!頭が無い!

フタツメオオシロヒメシャク と思わせるような姿です。林道脇のホソバムクイヌビワを観察していたときのこと。葉の上に白っぽい蛾が止まっていました。その左右の前翅の縁が一直線になっていて,まるで頭が切り取られたように見えるのです。もちろん,この下に隠れているのだろうと思うのですが。

この蛾は,フタツメオオシロヒメシャク。毎度お世話になっている,【みんなで作る日本産蛾類図鑑V2】こちらのページを見ると,やっぱり同じような姿で撮影されています。野外で見たときは,ただ白っぽい印象しかなかったのですが,こうしてみると,微妙な色艶や銀色に光る部分もあって,かなり美しいと感じられます。どうでしょうか。


2006/02/07 渡名喜村渡名喜林道

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残念,空だった

クメジママドボタルの幼虫
渡名喜島の集落は,道より低くなった屋敷とそれを取り囲む屋敷林が特徴的です。その屋敷林は,より高くなるようにと,道より高いところに植えられています。いろいろな野草が生えていたり,落ち葉の堆積があったりと,身近な自然の観察にピッタリの環境があります。そんな植え込みを歩き回っている虫を見つけました。

この虫は,クメジママドボタル(基亜種はオキナワマドボタル)の幼虫。ちょうど,オキナワウスカワマイマイの殻を見つけたところでした。この殻は,すでに死殻で中身は無いのですが,あちらこちらを触って,中のようすを探っているようでした。捕食者としてのホタルの姿を垣間見ることができたと思います。

それにしても,前回観察したのも12月下旬と寒い時期でした。このころに活動が活発になるのでしょうか?

2006/02/07 渡名喜村集落内の植え込み

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春は幅広

ナミアゲハ
というのはボディで目立つ黒い縦縞。こちらの8月に撮影した個体と比べると,よりハッキリとします。心なしか頭も大きいように見えるのですが,これは角度のせいかもしれません。

この蝶はナミアゲハ。夏に見られたものより一回り小さめでした。その上,とても白っぽい。てっきり,まだ撮影したことのない種類だと思ったのですが,図鑑で調べてみて,ちょっとガッカリです。おそらく春型ということなのでしょう。

更に,県内で見られるアゲハチョウの仲間では,このナミアゲハだけが白っぽい種類。キアゲハは分布しないのだそうです。

2006/02/06 渡名喜村シュガー(電業所裏)

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寒さに耐える団体行動

シロジュウジカメムシ
水中の微生物(ワムシやゾウリムシですね)を探しに行った帰り道,道路脇の木に目をやると,大きな葉の陰に黒い塊が見えました。一度は通り過ぎたのですが,気になって引き返してみると,これが虫の集団。雨風から身を守るようにして集まっていました。

この昆虫は,シロジュウジカメムシ。夏の間にも,同じようにオオハマボウで集まっている姿を観察していました。それに比べても大集団ですね。同じ株の別の葉でも集団を作っていました。

2006/02/05 渡名喜村ンジャ(集落南東の溜め池)

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全身トゲトゲ

ヤエムグラ
立春前のまだまだ冷え込む時期ですが,島のあちこちで緑が濃くなってきています。写真の植物も,マット状の群落を作っていました。

写真は花を狙ったのですが,そちらの方は今ひとつの出来栄え。それよりも,果実や葉の表面にビッシリと生えた棘が印象的です。この花はヤエムグラ。茎にも棘が生えていて,これでお互いもたれ合って体を支えているのだとか。そんなようすから,百人一首の47番に使われています。

写真では,6枚の葉が輪生しているように見えますが,このうち本物は2枚だけで,あとは托葉なんだそうです。こちらのページで葉の基部を見ることができます。いずれにしても,これらの細かな特徴を裸眼では識別できなくなってきたことが悲しいです。

2006/02/02 渡名喜村立渡名喜小中学校

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2倍に偽装している

ウシハコベ
久し振りに畑に行ってみると,まるで緑の絨毯を敷き詰めたようになっていました。もちろん野菜を育てているところは きちんと管理されているのですが,植え付けなかったところは,たくさんの野草が蔓延ってしまっています。

その中でも,高密度な純群落を作っていたのが写真のウシハコベ。コハコベに対して全体が大きいことから「ウシ-」と名付けられたのだそうです。ところで,作りの細かい白い花は一見すると花びらが10枚あるように見えます。でも,拡大撮影したものを見てみると,そうではないようです。図鑑には,「花弁は基部まで2深裂し10枚に見える」とありました。花びらは小さい(幅が狭い)ほうが適応的なのでしょうか。それとも数を増やすための形なでしょうか。雄しべの付く角度が互い違いになっているところも面白く感じられます。

2006/02/02 渡名喜村立渡名喜小中学校

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ゴマ⇒シソ⇒ハッカ

ヤンバルツルハッカ
何のことやら,というタイトルですが,ゴマかと思ったらシソのような気がしてきて,結局はハッカだった,という話の省略形です。

このPhotologに載せることを考えて,カメラを持って野外をウロウロしていると,さまざまな被写体に出会います。特に専門外の(というより避けてきた)植物は,初めて見るものがたくさんあります。図鑑で絵合わせすれば判るだろうと考えて,それなりの部分が揃ったカットを撮影しておくのですが,結局判らず終いでお蔵入りになっているのもたくさんあります。

この一枚も,危うくそうなりかけたもの。撮影したときはトキワハゼのようなゴマノハグサ科の一種だろうと思ったのです。でも,手元の図鑑にはそれらしいものが載っていない。頭から絵合わせしていくと,どうもシソ科の花にも似ているぞ,と。それで,シソ科で検索してみると,オキナワクルマバナというのが見つかりました。で,更に検索して見つかったのが,こちらのページ

この花はヤンバルツルハッカ。こちらのページには,蔓状になった株のようすが載っています。渡名喜の株は,ススキの根元で節間の短くなった塊状になっていました。

2006/01/04 渡名喜村ヘート-ンダ(風力発電施設)

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正月準備

初砂
お正月の準備の話を載せるのは,月遅れのような気もしますが,渡名喜島では旧正月の方が盛んですので,この時期になるのです。

写真は旧正月前日のある家のようす。どこが準備なのかというと,門柱の元に積まれた砂なのです。これを「初砂」というそうです。

毎度お世話になっている渡名喜村史には,トゥシヌユルー(大晦日)の記述に

その日は屋敷内の掃除をして浜から白い砂(初砂)を運んできて屋敷内や周りの道路にも真白くなるまでまく。浜の砂は正常なもので汚れを落とすものだという信仰による。
とあります。確かに混ざりものが無くて,小さく粒の揃った美しい砂でした。

2006/01/28 渡名喜村集落内

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