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先走る食意地

マンジュウヒトデ
夜の海だから...ということではありませんが,海岸近くの後方礁原でこんなものを見つけました。写真では,わかりにくいのですが,中央がこんもりと盛り上がっていて,とても厚みがあります。よく見ると五角形をしていて,これでもヒトデの仲間なのです。

このヒトデはマンジュウヒトデ。饅頭というには超巨大なのですが,確かに中華饅とよく似ています。一方,英語では cushion star。こちらは大きさもそれらしいものを選んでいます。なぜ命名者は饅頭を思いついたのか,英語名を知らなかったとは思えないのですが。

ところで,こんな形をしていても食べるのは専らサンゴ。オニヒトデと同じ食性なんですね。

2005/11/18 渡名喜村タカタ浜

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赤より赤い(?) 猩々色

タイリクショウジョウトンボ
沖縄には真の赤とんぼがいない」という話を紹介しましたが,その再掲です。顔まで赤いこのトンボは,タイリクショウジョウトンボ。トカラ列島以南に分布するものは基亜種で「タイリクー」が付くようです。成熟しても腹部の黒縦線が消えないところが特徴です。

前回の観察は5月下旬,今回は11月下旬。ということは,島のどこかで繁殖しているのでしょう。図鑑には「広範囲な止水域」とあります。島の中で,これに相当するのは農業用の溜池でしょうか。

2005/11/28 渡名喜村西底原

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よく見れば特徴的

ウスミドリナミシャク
久しぶりの更新です。この間,何をしていたのかというと...
こちらのサイトをご覧ください。長期出張で九州へ行っていました。


で,そこで見つけた動物がこれ。鉄柱にとまっていた地味な蛾です。果たして同定できるのか,心配だったのですが,前翅の模様を手がかりに,ウスミドリナミシャクに同定しました。イヌマキを食害するようですから,こういった人工的な環境では発生しやすいのかもしれません。

2005/11/24 熊本県荒尾市三井グリーンランド

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教科書にも載っている

ヤドカリとイソギンチャク
またまた,行ってきました夜の海。前回より2週間経っていますから,今度は満月の時期です。新月期に比べてあまり引かないし,季節風も強く曇天と,条件はあまりよくなかったのですが,アップする写真が尽きていたので...。

始めは東海岸の砂泥底,海草帯で夜間活動する動物を探しに行ったのですが,こちらは空振り。まるで砂漠のように生き物の姿が見られません(植物を含めて)。

そこで,岩礁の動物を求めて,西海岸のタカタ浜へ。既に,この日の最干潮を過ぎていたので,礁縁まで行くようなことはしなかった(できなかった)のですが,後方礁原から礁池のあたりをウロウロとしてみました。

あまり撮影したくなるような対象には出会わなかったのですが,陸寄りの潮溜まりで撮った一枚です。ヤドカリの殻に付いたイソギンチャク。とっても有名な共生の一例です。でも,忘れちゃいけないのが殻を作った貝の存在。貝がいなくちゃヤドカリは住めない。ヤドカリがいなくちゃイソギンチャクも生活できない。そんな関係を「住み込み連鎖」と呼んでいます。こちらも生態学上の重要な概念(になりそう)です。

2005/11/18 渡名喜村タカタ浜(ヘーワダ地先)

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偽・騙し・擬

スナゴミムシダマシの一種
漢字にすると,ますますマイナスのイメージが強くなるような気がします。「ニセ・ダマシ・モドキ」という言葉。標準和名には,元々あった種にこれらの言葉を付けた名前がいろいろありますが,人間の勝手な命名でマイナスイメージを持たせてしまっているのは,何だか申し訳ないというか,かわいそうな気がします。

植物の場合には,「イヌ・オニ・ヒメ」などなど。まだ趣があるように感じます。

写真の虫は,スナゴミムシダマシの一種。道端の草むらの中などにいて,除草作業の時などによく見かけます。よく似た種類が多いそうで,写真の個体も同定はできません。これらを含めて,科の名前が「ゴミムシダマシ科」なんですから,グループまとめて悪者扱いしているようです。

2005/08/24 渡名喜村西底原

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やっぱり花が好き

ウラナミシジミの幼虫と卵
花壇のシカクマメに集まってくるウラナミシジミ。その目的は...ということで,探してみると,見つかるものです。穴の開いた蕾。その一つを切り開いてみると,何と2匹もいました。写真は,ウラナミシジミの幼虫です。白いのは花びらですが,そこに開いた大きな穴は,蕾の外側まで続いていました。この個体は,何とか隠れようと,一生懸命下に向かって進んでいるところです。いかにもシジミチョウという姿形ですね。

切り込みは,まだ小さな蕾に産み付けられた卵。こちらもたくさん見つかりました。

2005/11/16 渡名喜村立渡名喜小中学校

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裏波の裏は瑠璃色の表

ウラナミシジミ
灯台下暗し,とはよく言ったもので,西森の頂上で初めて見られたウラナミシジミが,もっとも身近なところで群れ飛んでいました。雨上がりに差し込んだ日の光を受けて,小学生が育てているシカクマメの花に集まっていたのです。

畳一枚もない小さな花壇なので,集まっているといっても数頭です。その中には翅の周囲がボロボロになっている個体もいます。翅の内側(表側)も鱗粉が剥がれ落ちているようで何だかみすぼらしく見えます。と思っていたのですが,しばらくして気が付きました。メスなんですね。写真のようにオスはキレイな瑠璃色の翅を持っています。盛んに飛び回って,ほかのオスを追い出し,メスにアタックしていました。メスの方は,オスが近付くと,ちょっとだけ翅を広げます。交尾拒否の姿勢かもしれません。この花壇には2頭のオスと,4頭のメスがいるようでした。

2005/11/14 渡名喜村立渡名喜小中学校

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くだを巻いているわけじゃない

ヒメクダマキモドキ
毎日通る通勤の道,敷き詰められた白砂の上に鮮やかな緑色の虫がいました。キリギリスかなぁと思って,すかさず撮影。後で調べてみると,ヒメクダマキモドキのようです。「クダマキ」っていうと,長らく潮間帯を歩いてきたわたしには,クダマキガイ科の巻貝が思い出されます。

そこで,ネット上の辞書で「クダマキ」について調べてみると,「くだ」というのは糸を繰るときに巻きつける軸のようです。これが紡錘形をしているようですから,正にクダマキガイの形です。で,そこからの連想で「くだを巻く」という言葉が生まれたようで,「クダマキ」というのは,クツワムシの別名なんだそうな。確かにクツワムシの鳴き方は,趣が無くて,くだを巻いているように聞こえたのでしょう。このクツワムシに似た虫ということで「クダマキモドキ」と名付けられたのだそうです。

というわけで,往来の真ん中で,こちらを睨みつけてじっとしているこの虫は,くだを巻いているようで,くだを巻いているわけじゃないクダマキモドキなのです。

2005/11/08 渡名喜村西底原

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にび色の空のもと

アオタテハモドキのオス 寒気の南下に伴って,前線が接近していた本島周辺。夜の間は,かなり激しく降っていました。一夜明けて,雨は上がったのですが,すっきりしない曇天です。それでも,わずかな晴れ間にチョウたちが飛び交っていました。見慣れたシロオビアゲハに混じって,一際青く輝く小さなチョウがいました。

てっきりシジミチョウの仲間かと思ったのですが,調べてみるとアオタテハモドキのオスでした。以前紹介した玉城村産オスに比べると,一層青みが強いようです。メスが観察できたのは夏なのですが,果たして渡名喜島でも繁殖しているのでしょうか?


2005/11/10 渡名喜村西底原

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飛んで火に入る と思ったら...

ユスリカの一種
「いざり」に行って,潮溜りの動物を撮影しようと屈み込んでいると,そのうち,耐えられない状況がやってきました。どこからともなく小さな羽虫が集まってきて,ライトの周りを取り巻き始めるのです。わたしは,ヘッドランプと手持ちの懐中電灯,それにデジカメの液晶画面と暗闇の中で光を出し過ぎていたようです。立っている時はそれほど気にならないのですが,屈むと大変。目も開けていられなくなるし,耳の穴に入り込んでくるし。
砂浜に置かれたガスランタンの周りに,この羽虫たちが集まっていました。もう11月だというのに交尾していました。とても種までは同定できませんが,おそらくユスリカの仲間だと思います。

2005/11/04 渡名喜村タカタ浜

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鬼の手 って,本当は腕

オニヒトデ 「いざり」に行って,驚いたのは,ほとんど動物を見かけなかったこと。まぁ,時期が早かったのかもしれませんが。そんな中で,数少ないオドロキモノだったのが写真のヒトデ。名前はお馴染みのオニヒトデです。サンゴを食害することで有名なこのヒトデ,潮間帯でも見られるんですね。

もっとも,この個体は直径が10cmほど。小型個体だから,こんなところにいたのか。それとも,小型個体なのに,でしょうか。詳細は不明ですが,これよりも大きな個体もいくつか見かけたので,注していないと危険ですね。


写真ではわかりにくいのですが,管足を伸ばして,滑るように移動していきました。

2005/11/04 渡名喜村タカタ浜

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カメラ目線で

マエキコシボソハナアブ
さて帰宅しようかと荷物をまとめていると,視界の隅を虫が飛んでいきます。何だか見慣れないもののような気がして追いかけてみると,腹部が細長い異様な姿。頭部はハナアブ類にソックリなんですが。で,とりあえず撮影。鴨居につかまりながらの不安定な姿勢だったので,オートフォーカスに頼ることになりました。

手元の図鑑では正体不明だったのですが,ハナアブの世界にピッタリの写真がありました。このアブは,マエキコシボソハナアブ。小首を傾げるようにしてカメラに向いているようにも見えます。複眼だから,頭部を動かす必要は無いんじゃないか,と思えるのですが。

2005/10/25 渡名喜村立渡名喜小中学校

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夜のたのしみ

夜のたのしみ「いざり」
島に住む人々の冬のたのしみは,何といってもこの「いざり」でしょう。11月を過ぎると,大潮の干潮時の潮位は夜間の方が低くなります。このため,夜行性の海岸動物が活動しているところへ,人間が近付きやすくなるのです。お目当てはアナダコなどのタコ類やチョウセンサザエなど。時にはイセエビ類も採れるそうです。この日は新月の大潮だったのですが,まだ時期の始めで潮位は高め。獲物もそれほどのようでしたが,写真はいくつかいいのが撮れました。

ところで,「いざり」は「躄(いざ)る」の中に,漁労のことが含まれているのかと思っていましたが,「漁る(いさる)」という別の言葉があるんですね。外房時代にイザリウオと遊んだ記憶が強烈だったので,どうも2つが重なってしまっていたようです。

2005/11/04 渡名喜村タカタ浜

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今年も帰ってきたと 高らかに歌う

ジョウビタキのオス 朝の支度をしていると,「ピィッ,ピィッ」と聞き慣れない,鋭い鳴き声が聞こえてきます。どんな鳥だろう,とは思うのですが,何分忙しい時間ですから確かめることまではできません。で,出勤途中に出会ったのがこの姿。電線にとまって,高らかに鳴いていました。 この鳥は,ジョウビタキのオス。昨年はメスの写真を紹介しました。冬鳥たちの訪れで,島も賑やかになってきました。
2005/10/28 渡名喜村西底原

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黒い口

ノボタンの実
「何か食べられるものはないか」という問いかけに,紹介したのがこのノボタンの実。島尻毛の山道を登っているときのことでした。喜んで(?)採っていましたが,やっぱりお味の方は今ひとつといったようすでした。2ヶ月前と比べると,実が大きく裂けて,中が見えるようになっています。これなら,アリに運ばれたり,風雨に流されたりして種子散布できそうですね。
今日のタイトルは,ノボタンの属名から。Melastoma というそうですから,そのまんま直訳ですね。

2005/10/21 渡名喜村島尻毛ハチングィ

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トップはクズ。でも実は…

タイワンクズ
ほぼ一月ぶりに登った西森。山道が切り開かれたほかには,それほど変化は無かったのですが,山頂付近でもタイワンクズの花を見つけることができました。二度目ということで,少し余裕があったのかもしれません。大柄の,鮮やかな色合いの花で,まるで栽培品種のようですが,これも野草。集落内の畑周辺や林道沿いの空き地でも見られるのですが,太い蔓状の茎が絡まりあっていて,雑草と呼ばれるにふさわしい風格があります。ですが,やっぱり「葛根湯」が採れるようなので,実は薬草だったりします。

こちらのハマナタマメと比べると,ハマナタマメでは花穂が反転しているために,花の上下が逆さまになっていることがわかります。どちらも適応的なデザインなんでしょうけれども,両方のパターンが存在し得るというところが面白いと思います。

2005/10/27 渡名喜村西森

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返り血を浴びた跡

コケオトギリ なんだか生々しいタイトルですが,和名の由来がこんな話なんですね。それで,「弟切草」というわけです。こんな薬効のある草を知っていると,野外で役に立つかもしれません。 もっとも,この種はコケオトギリ。オトギリソウよりも葉が短く丸いのが特徴のようです。

この場所は,海岸沿いの崖の上。切り開かれたばかりで,「原野」といった風景なんですが,巨礫によって北風が遮られるような,本当に小さな生息場所に咲いていました。


2005/09/19 渡名喜村大本田園地(ミシルジ)

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