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世代交代を感じさせる

胞子体
といっても,植物の苔の話。苔のマットの中からすうっと伸びた棒の先に膨らみが付いています。この棒と膨らみが新世代になるのです。マットを作っているコケの本体部分は細胞内に染色体を一組だけもっている配偶体世代で,ここで生産された精子と卵細胞が受精して,新世代の胞子体ができるのです。ですからこちらの細胞内には,わたしたちヒトと同じように染色体が2組入っているのですね。

そんな話はともかくとして,こんなところにも春が来ているなぁと感じさせてくれました。
2005/03/16 渡名喜村集落内のブロック塀

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集まるのが好き!

イボタマキビ ということはないでしょうが,水分や熱の条件から,こうして集合することになるようです。この写真でも,テトラポッドのコンクリの割れ目に群れ集まっているのがわかります。潮間帯の中でももっとも高い位置に生息するこの仲間では,よく見られる現象です。写真の貝は,イボタマキビ。大きさの違いから,2才と3才の貝だろうと思われます。外房海岸の天津小湊では,ごく限られた場所で,ごく稀に見ることができました。写真のような大きさのものが見られなかったことからすると,寒さのため年を越せなかったのかもしれません。
2005/03/16 渡名喜村渡名喜漁港

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本当に大きい

ハマウド
この一枚は,珍しくグッと引いて撮ったもの。海岸でとても大きな“草”を見つけたのです。真っ直ぐ立ち上がった茎の直径は5cm以上あります。その先端にブロッコリーのように小さな蕾がぎっしりとついていました。これはハマウド(浜独活)。砂浜の一番陸側にまばらに生えていました。ウドというものを実際に見たことはありませんが,「独活の大木」という言葉のとおり,きっと大きいんでしょうね。
2005/03/19 渡名喜村東の浜

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矛盾を感じるこの名前

リュウキュウシロスミレ
やっぱり気にしながら歩き回っていると,ある時 突然 目に飛び込んでくることがあるものです。今回も,全く偶然。ふと見た法面にはたくさん野草が花開いていたのですが,この株だけに目が留まりました。スミレというと,文字通り菫色の花を思い浮かべますが,この花は白。その名もリュウキュウシロスミレ(琉球白菫)です。よく見ると白い花びらの中に紫の筋があって大変きれいです。変種名の,var.oblongo-sagittata の内,前半はわかりませんが,後半は葉の形が鏃のようなことから来ているのでしょう。まだこの1株しか見かけていませんが,実生で増やせるなら,栽培してみたいものです。
2005/03/19 渡名喜村大本田渡名喜園地

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肉厚でテカテカしてる

ソナレムグラ
渡名喜漁港は今だ造成中。荒涼とした風景が広がっています。けれどもよく見ると,そこかしこに緑のパッチがあるのです。本来は砂浜や岩礁といった陸の最前線で暮らしている植物です。写真の植物はソナレムグラ(磯馴ムグラ)。肉厚の葉が,いかにも水不足に強そうです。
2005/03/16 渡名喜村渡名喜漁港

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背中の模様が決め手です。

ヒトヅラハリセンボン
ここ沖縄では離島の海は限りなく透明。漁港の中でもご覧のとおり,泳いでいる魚に手が届くようです。この写真は海面から5m位ある防波堤の上から撮ったもの。底の岩までよく見えていました。この他に,いかにも熱帯風のカラフルな魚も撮影できたのですが,それらは名前がわからなかったのです。ようやく調べがついたのは,このヒトヅラハリセンボンだけ。イノーの浅瀬でもよく見られる種類です。この和名,漢字で表わすと「人面針千本」になるのでしょうか。目の突出しているようすが人の顔に見えるのかもしれません。
2005/03/16 渡名喜村渡名喜漁港

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こんなところで出会うとは!

ミナミトビハゼ
ちょっとした用事で漁港の防波堤へ。初めて外海に面した突堤まで行きました。で,当然のごとく潮間帯の生き物を撮影しようとテトラポッドに降りたのですが,ここでビックリ。予想もしなかった生き物がいたのです!

それが,写真のミナミトビハゼ。本来はマングローブ干潟など波静かで物陰があるようなところにいるものと思うのですが。ここではテトラポッドの上を跳び回って,しきりにエサを食べていました。写真では,一番大きな個体が横倒しになっていますが,これは乾いてきた体を湿らせているのだろうと考えられます。頭頂部の赤い個体も見られたのですが,婚姻色なのでしょうか?

トビハゼとの区別は,こちらのサイトが参考になりました。
2005/03/16 渡名喜村渡名喜漁港

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「海ゴキブリ」は女性の名

リュウキュウフナムシ
海岸へ行く人にはお馴染みのフナムシが,沖縄県内でも見られます。もっともリュウキュウフナムシという別種(別亜種?)とされているようです。外房で見たフナムシは,大集団をつくっていて,常に団体行動をとっているように感じられました。けれどもリュウキュウフナムシは,低密度で結構ばらばらに行動しているようです。形態などはどう違うのでしょう?今だ不明です。

リュウキュウフナムシの学名を調べるために,フナムシの学名,Ligia で検索してみると,これが意外なことに女性の写真が続々と表示されます。「海ゴキブリ」とも呼ばれてしまうフナムシの事を知ったら,Ligiaさんたちはどう思うでしょう。
2005/03/16 渡名喜村渡名喜漁港

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食べられるのかな?

ハマダイコン
ふと立ち寄った海岸が,思いがけず満開のお花畑状態になっていました。薄紫の花が風に揺れている光景は,なかなか情緒があります。花を見ると,四方射相称のようで,アブラナ科だろうと当たりをつけたのですが,調べてみると,まさにそのとおり。アブラナ科のハマダイコン(浜大根)。栽培品種のダイコンが野生化したものだそうで,「根は円柱形でやや太い」そうです。

撮ってきた写真をレタッチしながら気付いたのですが,どうやら花は左右相称のようです。花弁の形が微妙に違うし,おしべが6本あります。専門の方には当たり前かもしれませんが,素人には新鮮な驚きです。
2005/03/15 渡名喜村東の浜

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浜 払子

ハマボッス
「浜 払子」とあると,なんだか人の名前のようですが,そうではなくて,この植物の名前「ハマボッス」なのです。「浜」とありますが,図鑑によると「海岸の岩場や砂地に生える」とあるので,海岸近くだったら,大抵のところで見られそうです。渡名喜島でも漁港の中の埋立地で見ることもできるくらいです。一方,「払子」というのは仏具の名前だそうです。

春を迎えて花の時期になったようで,渡名喜島のあちこちで白い花をたくさん咲かせています。
2005/03/13 渡名喜村島尻展望台駐車場

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うすくれないの

ウスベニニガナ キク科の野草では白や黄色の花が多いように感じられるのですが,この花は珍しく薄赤紫。和名をウスベニニガナ(薄紅苦菜)といいます。この株は小さいので一輪しか花をつけていませんが,普通は茎の先端にいくつかまとまってついています。林道のガードレールの支柱の近く,ほんの僅かなパッチなのですが,しっかり利用する植物がいます。この小さな姿に生命の強かさを感じます。
2005/03/13 渡名喜村渡名喜林道

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すくすく育て

リュウキュウマツ
沖縄県の県木にもなっているリュウキュウマツ。渡名喜島では島の南西部で集中して見られます。写真は林道の法面で見られた若木というよりは芽生えです。発芽してから3年あるいは4年目といったところだと考えられます。実は,ここ渡名喜島は4年前の2001年9月に台風によって大きな被害を受けているのです。今でも島のあちらこちらで立ち枯れしたモクマオウの林を見かけます。おそらく,その後発芽したのだろうと思われるのです。無事成長して,再び緑濃き島となってもらいたいと思います。
2005/03/13 渡名喜村渡名喜林道

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昔の名前は?

テッポウユリ
風が吹き抜ける島尻毛で,ようやく見つけたテッポウユリ。渡名喜島でも,あちこちで見られると聞いているのですが,まだこの一輪しか見つけていません。図鑑で調べてみると,よく似たウケユリというのがあるようですが,花粉の色が違うのが決め手になりました。ウケユリが赤褐色なのに対して,テッポウユリは黄色なので,花が咲いていればすぐわかりますね。

ところで,和名の「テッポウ」とは,やっぱり「鉄砲」だろうと思うのですが,鉄砲伝来以前は,このユリのことを何と呼んでいたのでしょう。確か,元寇の時に「てつはう」という武器があったような。そうすると,13世紀ですけれども,それ以前には何と呼ばれていたのでしょう。目立つ花ですから,きっと呼び名があると思うのですが…。
2005/03/13 渡名喜村島尻展望台

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春の渡り

ヤツガシラ
この日は全国的に冷え込んで,東京都心でも雪が舞ったようです。ここ渡名喜島の冷え込みも厳しく,風が強いこともあって体感温度はさらに低く感じます。そんな中でも季節は確実に移っているようで,春を告げる渡り鳥を見つけました。

写真の鳥は,ヤツガシラ(八頭?)。世界で1科1種(ということは1属)という他とは類縁の薄い鳥です。頭の形(冠毛)と体色が印象的です。学名のUpupa epops というのは鳴き声の「ポポ,ポポポ」というのから来ているんじゃないかと想像するのですが,和名の由来は何でしょうか。ヤツガシラというとサトイモみたいなものを思い浮かべるのですが…。

駐車場の芝生をしきりにつついて,ようやくケラをゲット。丸呑みして飛び立っていきました。
2005/03/13 渡名喜村大本田渡名喜園地

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Bean Stalk

0311bean_stalk っていうと,「楽園の泉」とか「星ぼしに架ける橋」とかを思い出すのですが,この写真は,素直に「豆の茎」(スズメノエンドウ)です。青空へ向かって伸びていく姿が命の芽吹く春を象徴しているように感じられました。
今日は,渡名喜中学校の卒業式。先ほど,卒業生3名が巣立っていきました。

2005/03/08 渡名喜小中学校グラウンド

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ひなたぼっこが好き

ホソハリカメムシとオオチドメ
暖かな春の陽射しを背に受けて,まるで自分の影に見入っているかのようなこの虫はホソハリカメムシ。ちょうどよい大きさの葉を選んで,体温を上げているのかもしれません。葉の方はオオチドメ(大血止)。葉の巻き方がパラボラアンテナのようになっているところが面白く感じられました。ところで,この虫,前回紹介したときも日光を浴びているところでした。本当に日向が好きなのかもしれません。
2005/03/09 渡名喜村西底原

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単純なのに(だから)多様

テリミノイヌホウズキ
出勤途中に,小さな可憐な花が朝日を浴びて咲いているのを見つけました。花の様子からナス科だなぁと見当がつくくらいにはなっているのですが,そこから先は図鑑のお世話になりました。この花は,テリミノイヌホウズキ。花序のつき方と葉に鋸歯が無いことでイヌホウズキと区別しましたが,どうでしょうか。

こうして野の花に目を配るようになって,改めて気付いたのですが,花のつくりって,どれもみな同じようなものですね。この花も五放射相称。このほかアブラナ科の四放射,ユリ科は三放射,マメ科やラン科は左右相称。そして,中心から雌蕊雄蕊花弁萼と,順序も決まってますし。それでも「1つとして同じものは無い」なんて歌われるくらい多様に見せられるのですから,自然の造形はたいしたものです。
2005/03/09 渡名喜村西底原

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過剰演出への戒め…かな!?

ナワシロイチゴ
キレイな花を見つけた!と,早速撮影開始。以前ならできるだけそのままの状態で,構図を工夫していたのです。けれども,最近は違います。対象が最もよく写るように,ささやかな演出をするようになりました。で,今回も手を出したのですが…,すぐに痛い目にあってしまいました。茎に鋭い棘が一杯あって,これで絡み合っているのです。強い風のため,なかなか静止してくれないし,結構大変な撮影になってしまいました。

この薄桃の花はナワシロイチゴ。日本各地の原野などで見られる植物だそうです。花の時期は晩春とありますが,渡名喜島ではもう盛りを過ぎているようです。熟した果実は食べられるようですから,こちらもたのしみです。
2005/03/04 渡名喜村西底原

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「の」でなく「野」

カラスノエンドウ こうして文章を綴っているときに,いろいろと迷うのが,「てにをは」の使い方。いったん書いてから,改めて読み直すと,自分でも意味が取れないことがしばしばあります。そこで,推敲するのですが,それでもこの程度。本当に難しいです。
そんなことを考えさせてくれるのが,この植物の名前,「スズメノエンドウ」です。「雀の豌豆」ではなくて,「雀」のように小さな「野豌豆」ということなのだそうです。これより大きくて熟した莢が黒くなる「カラスノエンドウ」や「ラス」と「ズメ」の中ぐらいの「カスマグサ」というのもあるそうです。やっぱり和名は漢字表記も添えないと意味が伝わりませんね。

2005/03/04 渡名喜小中学校グラウンド

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渡名喜の立神岩

渡名喜の立神岩
このあたりは黒くて,表面がなめらかな岩石。おそらくアプライト質の火成岩だろうと思われます。それが,すっくと空に向かって立ち上がっているのです。そこで,「立神岩」と勝手に命名してしまいました。以前訪れた与那国島の立神岩が頭にあったのです。そこで,他にもないかと検索してみると,「立神」コレクションというページがありました。世の中には,こんなコトに注目している方もいるのですね。このページによると,全国で70ヶ所もあるそうです。
2004/12/25 渡名喜村カキヤー(シュガー浜の北海岸)

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クチアリ・クチナシ

クチナシの果実 「口が無い」のが特徴のクチナシの果実ですが,この写真では大きな穴が開いています。右側は野鳥が啄ばんだ痕のようですが,この穴は違うようです。いわゆる「虫喰い」だったのではないか,そう思わせる開き方です。一体誰が開けたのでしょうか?

まだまだ知らないことが一杯あります。


2005/02/05 渡名喜村渡名喜林道

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ハルチンナン=畑蝸牛

オキナワウスカワマイマイ
こちらも沖縄県内で最も身近なカタツムリ。オキナワウスカワマイマイです。一昔前までは食用だったようですが,「カタツムリを食べる」ってかなり意外なようで,こんな話題を持ち出すと,始めは信じてもらえません。「ハルチンナン(畑蝸牛)」と呼ばれて,本当に身近な存在だったようですが。

さて,写真の個体は宮古島産の個体とは違う角度から撮影できたので,より「カタツムリらしい」姿に見えます。また,殻の色がずいぶん違うこともわかります。沖縄本島では宮古島産のように橙色のものも見られるのですが,ここ渡名喜島ではほとんど見かけません。やはり遺伝なのか,それとも環境の要因か。まずは,地域毎の殻色構成をはっきりとさせることからでしょうが…。
2005/02/17 渡名喜村西底原

2005/08/04 日付の誤記を訂正

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これもパンダナ…

パンダナマイマイ
沖縄県内で最も身近なカタツムリ。その1つがこのパンダナマイマイでしょう。和名のパンダナというのは,タコノキ科の植物の属名(アダン)から来たものだそうで,沖縄本島を象徴する植物として選ばれたんだとか…。けれどもアダンが生えているような海岸林で見られるパンダナマイマイにはオカヤドカリが入っていることが多いようです。

写真の個体は集落内の畑を囲むコンクリの塀で見られたもの。比較的色帯の幅が広く,色もしっかりとしています。こちらのページを見ると種内(地域?)変異がわかるのですが,同種とは思えないほど色や形が違っています。臍孔が開いている点が識別点になるかもしれません。

よく見ると,殻口近くの色帯の上に,血管があるのがわかります。もちろん殻の内側にあるのですが,この部分でガス交換を行なっているのだそうです。つまり「肺」として機能しているんですね。
2005/02/17 渡名喜村西底原

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