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ロンドン・エージェント

ヒドリガモ
たくさんの渡り鳥で賑わう動物園の池で,一羽のカモがじっとしていました。水面に張り出した枝の下で,首を竦めているようです。よく見ると翼がおかしい。これでは,飛べそうもありません。足輪もついているようですから,動物園で飼育されているのかもしれません。このカモはヒドリガモ。夏の間はシベリア周辺で生活しているようなのですが。もう帰れないでしょうね。
ところで,学名はAnas penelope。わたしたちの世代でpenelopeといえば,やっぱりこれでしょうというタイトルでした。
2004/12/29 沖縄市こどもの国

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金といっても,実は黒

ツマグロキンバエ
白砂の敷き詰められた渡名喜島の道は,何か落ちているものはないかとウロウロするわたしにとって,とても好都合なところです。この日も車から降りてすぐに,1匹のハエに気付きました。少し細長い体型から,アブの一種だろうと思って撮影したのですが,図鑑で調べてみると「ツマグロキンバエ」というクロバエの仲間。臙脂色をした腹部と縞々模様の複眼がお洒落だなぁと思うのですが…,これもグロ画像になってしまうのでしょうか。
日本全国から中国・台湾と広く分布して,腐敗物に集まるという,典型的な嫌われ者のハエです。
2004/12/25 渡名喜村シュガー付近の農道

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これぞ「口無し」

クチナシの果実
林道に爽やかな香を振りまいていたクチナシが,こんな姿になりました。4月の花の時期から8ヶ月が経っています。黄色く写っている部分は萼片が果実を包んでいるのだそうです。そのためか,熟しても口を開かないので「クチナシ」と名付けられたとか。花だけ見ていては,想像できない名前です。冬のこの時期,野鳥たちの貴重な食料になっているのでしょう,ほとんどは無残にも食いちぎられていました。そんな中,無事に見える角度で撮影できた貴重な1枚です。
2004/12/23 渡名喜村渡名喜林道

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校庭は緑の迷彩

コメツブウマゴヤシ
冬枯れのグラウンドで,青々と葉を茂らせているコメツブウマゴヤシ。よく見ると,細かな毛がびっしりと生えています。黄色い小さな花は集まって,シロツメクサのような形になっています。このあと黒くて棘の無い果実ができるそうです。グラウンドのあちこちで群落を作っているのは,こうして作られた種子が散らばったためなのでしょうが,一体どうやって,誰が運んでいるのでしょう?
2004/12/22 渡名喜村立渡名喜小中学校グラウンド

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一番桜は緑の中

カンヒザクラ
まだ立春前ですが,この2~3日,沖縄では春の訪れを感じさせる陽気になりました。先週末に出掛けた那覇市内の公園でも,桜(カンヒザクラ,Prunus cerasoides)がちらほらと咲いていました。既に桜祭りをしているところもあるのですが,「春はそこまで」という感じですね。それにしても,桜の背景は濃い緑。常緑のソウシジュ,Acacia confusaの大木に囲まれて,薄い桜色が風に揺れていました。ソメイヨシノで慣れた目には,不思議な光景に映ります。
2005/01/21 那覇市奥武山(オオノヤマ)公園

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珍鳥を遂に撮影!

オサハシブトガラス
沖縄に住んでみて驚かされることの一つに,「カラスがいない」ことがあります。全くいないということではないのですが,人口密集地の沖縄本島中南部では,姿を見ることができません。それで,沖縄で生活していると,カラスが珍しく感じられるようになったのです。ここ渡名喜島には,数羽(おそらく4~5羽)のオサハシブトガラスが生息しているようです。たいてい2羽で行動していて,フクギの梢で鳴いているのを見かけます。ところが警戒心が強くて,近付いて撮影できずにいたのです。この写真は,コチョウゲンボウを威嚇しているところ。しきりにちょっかいを出していて,そちらに気を取られていたのか普段以上に近付くことができました。
2005/01/04 渡名喜村西底原

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黄色いちょうちょ

ハマササゲ
護岸の上の砂地で,これぞ豆!という花を咲かせていたのはハマササゲ(ハマアズキ)。はっきりとした黄色と厚手の花びらが栽培植物とは一味違った逞しさを感じさせてくれます。葉も厚みと光沢があって,海岸での生活によく適応しているようです。本来植えますだったところまではびこっていましたから,カバープラントにならないでしょうか。マメ科ですし。
2004/12/26 渡名喜村ユブク(南西海岸)

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夜を待たずに 花開く

コマツヨイグサ
護岸の上に続く砂地(吹き上げ砂丘?)で,冷たい冬の雨に打たれながらコマツヨイグサが咲いていました。花びらが少し内巻きになっていて,いかにも寒そうに見えます。それにしても,この時期に花を咲かせても,花粉を運んでくれる昆虫はいるのでしょうか。この雄蕊を見ると,虫媒としか考えられないのですが。
渡名喜島では砂浜だけでなく,路傍やグラウンドでもよく見かける植物です。これも北米原産の帰化植物だそうです。
2004/12/26 渡名喜村ユブク(南西海岸)

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こんな所にいた!

ムラサキカタバミ
と驚かせてくれたのは,ムラサキカタバミ。僅かに紫色したピンクの花がとてもきれいな野草です。沖縄本島南部では畑や空き地の周りにたくさん咲いていました。けれども,渡名喜島ではあまり見かけないのです。花のつくりの観察や光合成の実験に,便利に使ってきたのですが,今年は無しで済ませないといけないなぁ,と思っていたのです。
ところが,何と,島尻毛の尾根筋の山道で,ひっそり咲いているところを発見。こんな人里離れた山の中で何故!? あとから考えてみると,このあたりは1960年代までは農業が行なわれていたところ。その頃持ち込まれた株の子孫なのかもしれません。
2004/12/26 渡名喜村島尻毛(シマジリモウ)

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黒.*豆

クロバナツルアズキ
おせち料理に黒豆というのがありますよね。これが苦手,というか,その良さがわからない。黒豆は,味もパッとしない上に,一つひとつつまむには小さくて面倒で,かき込むには大きいという中途半端なサイズ。あんまり食べてないものだから,その味もよく思い出せない有り様です。
そんな黒豆を思い出させてくれたのが,このクロバナツルアズキ。黒花蔓小豆の前後を取って黒豆。まぁ思い出したんだからしょうがない。濃い紫の花びらが非対称にねじれていのがる印象的です。北米原産の帰化植物だそうですが,林道の法面にたくさん咲いていました。
2004/12/26 渡名喜村渡名喜林道

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ネギは無いけど やって来る

マガモ
年末は家族サービスで,久しぶりの動物園。園の中央にある池には冬の渡り鳥がたくさん飛来していました。その中でも一際目立つ色彩が,このマガモ。こんな南の島までやってくるんだなぁと思ったら,越冬地は台湾から中国南部のようです。沖縄は中継地なんですね。とても人馴れしていて,すぐに集まってくるのは鯉のエサを横取りするため。でも,そのおかげで近くから撮影できました。
2004/12/29 沖縄市こどもの国

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そっと寄り添う

タイワンタマキビ
厳しい北風に耐えるように,そっと寄り添う2つの貝。実際は1cm以下の小さな貝です。潮間帯の最上部,やっと飛沫がかかるくらいの高さで生活するタマキビの仲間,タイワンタマキビ(マルアラレタマキビ)です。
ちょうどよい角度から日の光が射して,殻の表面のようすがよくわかります。光沢のある表面にはジグザグ模様の褐色の線。そして,ぐるっと取り巻く螺肋もよくわかると思います。千葉県の海岸でよく見かけたアラレタマキビによく似ています。けれども,このジグザグ模様ですぐに区別がつきます。
2004/12/25 渡名喜村クタラー(シュガー浜北側の岩礁)

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ベッドでお食事

ツノレイシ
といっても,この巻き貝(ツノレイシ)がベッドに入るわけではありません。バックをぎっしりと埋め尽くす黒い二枚貝(ヘリトリアオリ),このような状態をmussel bedと呼んだのですね。で,この巻き貝は,これらの二枚貝を襲って食べる肉食性の貝なのです。渡名喜の海岸では,エサとなる二枚貝がたくさんあるので,このような肉食性の巻き貝もそれだけたくさん見ることができます。
2004/12/25 渡名喜村シュガー浜

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似て非なる part II

フジツボの一種
フツーの人からすると,写真のようなフジツボの仲間も「貝」の一種に思えるようです。確かに,海岸の岩にくっついている石みたいな硬い殻,という点では共通していますから,そう思われるのも自然なことなのでしょうね。でも,この仲間は,エビやカニに近い全くの別物。潮が満ちてくると,中央の2枚の殻が開いて,その隙間から脚(蔓脚)を出してプランクトンなどを濾し取って食べるという暮らしをしています。
2004/12/25 渡名喜村クタラー(シュガー浜北側の岩礁)

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似て非なる

コウダカカラマツ
この貝は,コウダカカラマツ。「笠貝」と呼ばれるのがよくわかるような角度で撮影してみました。このコウダカカラマツは,姿形だけでなく生活の仕方ヨメガカサトラフザラとよく似ています。けれども系統的にはずいぶん違っていて,陸で暮らすカタツムリに近い仲間です。そのことを強調するときには「有肺類笠貝」と呼んだりします。少しだけ殻を持ち上げて,周りのようすを覗っているのも面白いと思います。きちんと目がありますから,やっぱり「見て」いるのでしょうね。
2004/12/25 渡名喜村クタラー(シュガー浜北側の岩礁)

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北風に 肩をすくめて 一人いる

アマサギ
明日は土壌動物の観察があるので,山へ落ち葉採り。渡名喜林道の何ヶ所かに心当たりがあるので,そこで林床を掘り返してみようと出掛けたのです。アンジェーラを過ぎて林道の登り口に差しかかると,轍にできた水たまりで一羽の鷺が立ちすくんでいます。車で近付いても飛び立ちません。様子を覗っていると,嘴を水に差し込んで,水を飲んでいるのか,それとも狩りの練習か。いずれにしろ,道を譲ってくれないので,そ~っと脇を通って,それから撮影しました。車から降りて近付いても逃げません。結局,1m位の,手を伸ばせば届く距離からシャッターを切りました。怪我などしていなければいいのですが。群れで行動するアマサギだけに心配です。
2005/01/10 渡名喜村マテーシガニク(林道東側始点)

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今の姿を保ち続ける

トラフザラ
こちらも地味な楕円形の貝。ヨメガカサと同属のトラフザラ(オオベッコウガサ)です。この貝,どちらが頭かというと,殻の中心が寄っている方(左下)です。つまり,写真のようすは,ずっと進んできた笠貝が,二枚貝の集団にぶつかり立ち往生しているところなのです。

ところで,左上の部分には二枚貝が全く見られません。これは,笠貝類などのグレイザーが岩の表面を削り取って食べているためなのだそうです。プランクトンの時期を終えた二枚貝の幼生が岩の表面に付着したとしても,グレイザーが微細藻類を食べるときに一緒に削り取られてしまうのです。一方,二枚貝の集団の中には笠貝類が入ってこられないために,次々と新しい二枚貝が定着できるのだそうです。結局,笠貝類は自分が食べることで,食べるためのエサを確保し続けられることになるのです。

うまくできた話ですが,実際には,笠貝が捕食者に襲われたり,二枚貝の集団が剥がれ落ちたりして,いろいろと変化が起きているようです。そこら辺が群集動態のおもしろいところです。
2004/12/25 渡名喜村クタラー(シュガー浜北側の岩礁)

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岩肌に残された 不思議な模様

グレイジングの痕
テトラポットや防波堤,それからこの岩のように,表面が平坦なところがあると写真のような不思議な模様を見かけることがあります。海へ行かなくても,ジメジメしたコンクリートの表面に,同じような模様が見られることがあります。実はこれ,笠貝類の食事の痕なのです。笠貝類を含めたグレイザーと呼ばれる動物は,岩の表面を削り取るようにして微細藻類を食べています。このため,削られて白くなったところが模様になって見えるのですね。陸上ではカタツムリがこのような模様を作っています。
くねくねと大きく左右に振れているところは,貝が首を振ってじっくりと食べた部分です。右下はその拡大。米粒より小さな「はみ跡」がたくさん並んで白線となっているのがわかります。しばらく左右に振れた後,すぅーっと伸びているのは,食事場所を変えるために急ぎ足で移動したところ。移動中も味見しながらなんですね。
岩肌に残された模様から,貝の行動が読み取れるようです。
2004/12/25 渡名喜村クタラー(シュガー浜北側の岩礁)

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いざ お食事に!

ヨメガカサ 何やら楕円形の物体が傾いて写っているこの写真。ずいぶんと地味なのですが,個人的には思い出深い被写体です。この貝はヨメガカサ。こんな平たい殻ですが,これでも巻き貝の仲間です。殻の形から「笠貝」類と呼ばれています。岩の表面などに生えている微小な藻類を削り取って食べる,グレイザーと呼ばれる生活様式をもっています。潮間帯の岩礁では,グレイザーの存在が群集の構造に大きな影響を与えているのだそうです。
右下の濡れている所は,この貝が食事のために移動した痕なのです。研究室の先輩が,この仲間の一日を記録するといった研究をしていました。そのお手伝いなどしながら,この道にハマッていったことが思い出されるのです。
ヨメガカサという名前は「嫁の皿」という意味だそうです。笠貝類でも特に平たいという特徴を表わしているのだそうですが,時代を感じるというか…。やがて「どうして嫁の皿が平たいの?」なんて聞かれるようになるのでしょうね。
2004/12/25 渡名喜村クタラー(シュガー浜北側の岩礁)

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一肌脱いだ そのあとは

ミナミイワガニ
冬の岩礁を歩いていると,黒い岩に赤いカニがじっとしている姿をたくさん見かけました。まるでカニ鍋に入っていたかと見間違えるような,見事に茹で上がった色です。形からすると,おなじみミナミイワガニのようです。でも様子がちょっと変。近付いても逃げ出さないのです。で,よーく見てみると,脱皮した後の抜け殻なのです。こんなにあちらこちらで見られるということは,最近脱皮のシーズンを迎えたのでしょう。それが潮汐の関係なのか,季節の問題なのかはわかりませんが。
2004/12/25 渡名喜村トゥングゥジー(アンジェーラ東側の岩礁)

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鷲と鷹と隼と

コチョウゲンボウ
分類上はワシタカ目を構成する2つの科ということになるのですが,それにしても鷲と鷹は一括りでワシタカ科に入れられているし。世界的にみても,ハヤブサ科の3倍くらい種数があって,ワシタカ類のほうが繁栄しているのでしょうか。素人目に明らかなのは,ハヤブサ類は目から下へと伸びる「頬髯」状の黒班を持っていること。図鑑には「頬髯」とあるのですが,なんだか涙の跡のようにも見えます。
酉年&初夢祈願で鷹の写真を載せたかったのですが,島にいるサシバは高い所を飛んでいて,なかなか撮影できないので,コチョウゲンボウになってしまいました。
2004/12/25 渡名喜村西底原

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